歌う総菜屋 竹田克也のブログ

音楽と東長崎の惣菜店「やきとりキング」の二足の草鞋を履く、兼業音楽家竹田克也のブログです。

総菜屋「やきとりキング」の「やきとり王子」こと、兼業音楽家・竹田克也(38)。

毎月大体3本ペースで老人ホームの慰問や平日のライブハウスイベントなど、各地でライブ活動を行っている。

よく趣味の一環と思われがちだが、当人は趣味とは思っていなく、兼業とはいえ音楽家・歌手という職業人として取り組んでいる。

とは言いつつも販売しているCDがあるわけではないので、なかなか説得力を持ちづらい事ではあるが、とにかく当人はプロミュージシャンとして楽曲制作やステージ活動をしているという前提で話を進める。

今回はコンサートの作り方から、価値についての考察に展開していく。

◆音楽は、誰が何と言おうと王子にとって「仕事」なんです。

私の演奏スタイルはいわゆるギター弾き語り(自分でギターを弾きながら歌うというスタイル)と、バンドにゲスト参加するソロの歌手スタイルだ。

しかし当日の会場だけが仕事ではなく、選曲から始まり、アレンジ、練習と積み重ねる必要はやはりある。弾き語りスタイルはその音楽に対する責任は全てミュージシャン自身に降りかかる。ダサい演奏は出来ない

そうならない為に日々別の仕事をしながらも、作曲→選曲→アレンジ(リアレンジ)→練習→ライブという作業サイクルを行う。

その際特に気にするのが選曲である。どういう構成にしたらより楽しんでもらえるか、その日のイベント内容を基に考える。またその日の天気やニュースなどにも絡めてMCの挿入部分や内容を考え、時間があれば台本に起こしてみる。そうやってコンサートの流れとタイムスケジュールをざっくりと設定しているのだ。

特に選曲で私が大事に思っているのは「カバー曲」の存在である。

私はミュージシャンの役割は3つあると考える。

①芸術家として普遍的な美を追求する作業(創作作業=作詞・作曲)

②祭の享楽(トランス)を誘引する呪術的役割

③過去の作家が作った音楽の継承・伝承

この中だとカバー曲の役割は③という事になる。

が、カバー演奏で楽典を身体的に知り①の糧となり、リスナーが過去より知っている共通の音楽体験を共有する事で②に近い感覚も生み出せる。

加えてリスナーの立場だと、海の物とも山の物とも分からないようなミュージシャンでも、知っているカバー曲が出てくると嬉しいものだ。それによってステージとオーディエンスの距離感を縮める事も出来る。

そういう事を常に意識しながら1つ1つのコンサートを制作しているのだ。

これらの手間に対して身入りを見込める事は稀な事である。そこは音楽で生計を立てている人とは何かの差があるのかもしれない。

◆本業も副業もない。目の前の役割が今の仕事

ただこういう立場で音楽業をしていると、「好きでやっているんだから(持ち出しでも仕方ない)」という風に言われる事がよくある。

確かに好きでやっていることだが、兼業とはいえその場を楽しんでもらいたい、想いを伝えたいという想いは、本業が音楽の人と大差ない。その為に出来る限りの手間を積み上げている。

というかそもそも「本業」という感覚自体私は持たないようにしている。常にその時その場で行っている業は仕事であり「本業」だからだ。

演奏すれば必ず場が生まれ情動があり、人の様座な感覚を呼び覚ます事ができるのが音楽であり芸術なのだ。それらの作業に対してもっと価値を見出す事は出来ないだろうかと常に思考を動かしてきた。

その思考実験の結果、1つの考えに至った。

◆「価値ある事をしている」と自分がまずは信じてあげないと、だね

2018年になって改めて仕事としての兼業音楽家を意識することにした。

そこで浮かび上がった考えが「自分で価値をつける」という事だ。

その流れで始めた事が、noteでのライブ音源の販売だ。

▶︎おんがくキング[音源販売マガジン]
https://note.mu/takekatsu/m/m1666c9cdb908

noteというクリエイター系SNSは簡単に価格を付けた作品をアップ出来る。これはインターネット時代になった正に証とも言えるコンテンツだ。

それまではアーティストはプロデューサー、レコード会社に認められる事でしか自分の音楽を世に問う事が出来なかった。それがアーティスト自身が己の裁量で値段をつけて作品を売る事が可能になった。

ライブ音源を編集して、速やかにnoteにアップロードしている。ライブ音源はnoteの最低価格設定の100円にしている。投げ銭感覚でちょっと応援してやろうかなという感じで気楽に買ってほしいからだ。

現在少しずつ制作している自宅録音版は、打ち込みも駆使して、バンドアレンジを含む豪華な音源にしている。それらはCD化もする予定だが、noteでも販売予定。手間暇をどのように評価するかではあるが、現時点では価格は決めていない。

いずれにせよ価格を付けた作品をコンスタントに掲載していく予定である。

実はこの「価格をつける」という事がとても大事。

聴いてもらいたいという想いがあるので、以前は無料でいくらでもアップしていた。しかし、シンガーソングライターとして作業に費やした時間や手間、そして生み出した作品に対して、自分自身が「価値」を見出せなくて誰が価値を認定するのか、という考えに至った。

焼鳥を刺して焼いて販売する事と同じ。

美味しいものを作ったら、美味しいという事を価格化する。どれだけ美味しいかを価格で表現するとい事だ。音楽も同様で、作家はよりリスナーに直接問いかけられる時代になったという事だ。

どのような形で小口でも音楽業を形成できるかはこれからの課題だ。まずはそのように舵を切って、作品をどんどん作っていきたいし、問いかけていきたい。

楽しい音楽人生の新たなステージへ。実験は続く。


※クリエイター系SNS「note」より転載


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